0012 元カノの結婚式

 
「どうして俺がこんなひらひら着ないといけないんだよ!」
「だから何度も説明したでしょ。彼には翼の事は女の子だって説明してたって!」
「それなら俺なんて呼ばなけりゃ良かったじゃないか!」
「だから、彼には親友だって話してたのに呼ばないなんておかしいでしょ!」
大学時代の恋人であり、今でも友達付き合いしている奈試qが結婚すると聞いた時は正直ショックだった。俺は今でも彼女の事を愛していたのだが、彼女は俺の知らない間に新しい彼氏と籍を入れるところまで親密になっていたというのだ。
だからと言って俺は呼ばれた結婚式を欠席するほどケツの穴の小さな男だと思われたくも無かった。二人を祝福しようと気持を入れ替えてそれに臨んだ俺だったが、そこでとんでもない状況に陥らされてしまった。受付で名前を書いているまさにその時、白々しくぶつかってきた女性に頭からジュースを浴びせられてしまったのだ。
「大丈夫よ、全然似合ってるから。」
「そんな問題じゃないだろうが!」
たちまち別室に連れられ、新しく新調したスーツを脱がされた俺に代わりにと用意されたのは、予め周到に用意されていたに違い無いきらびやかな女性用ドレスだったのだ。裸にひんむかれていては着替えない訳にもいかず、仕方無くそれを身に付けた俺の前に現れた花嫁は前述した様なとんでもない事情を俺に話した。
「じゃあせめて始めから言っておけよ!」
「女装して来て頂戴なんて言ったら、絶対来なかったでしょ!」
「当たり前だ!男がこんな格好で人前に出れるかよ!」
俺は顔を真っ赤に染めて奈試qと言い争っていた。スカートを穿いたのは高校の文化祭の時以来だ。情けない事だがその時の女装コンテストで俺が優勝してしまったのを奈試qはしつこく覚えていたのだろう。悔しいが鏡でちらりと見た俺は彼女の言うとおり女に見えなくも無い。
「なにしてるんだ、奈試q」
その時控え室の扉を開けて入ってきたのはタキシードのすかした男。呼び捨てにする以上こいつが俺から奈試qを奪った花婿に違い無かった。
「あっ、友達がお洋服を汚してしまったから、代わりの洋服に着替えてもらってたの。こちら高校の同級生だった、翼く、じゃなくって、翼ちゃん。何度も話したでしょ?」
「あー、例の親友の女の子か。噂以上に可愛らしいね」
まったく、どんな話を伝えていたのかは知れないが男は好色そうな目で俺を眺めて可愛い美しいと繰り返した。男である俺はそんな褒め言葉が嬉しい筈も無く、必死に奴を睨み返したが、厚顔無恥なそいつは全く気が付かない様だった。
「それ奈試qが前来ていたドレスだろ。サイズぴったりじゃないか」
「なっ!?」
俺は今度は奈試qの方を睨み付けた。自分のお古のドレスを元彼に着せるなんて悪趣味にも程がある。しかも相手の男はこのドレスを着た奈試qと一緒になんらかのパーティーにでも参加したと告白している様なものなのだ。俺は恥ずかしさと嫉妬の合間でもうこのまま帰ってやろうかとさえ思った。
だが俺の気持を察したかの様に奈試qが囁いた。
「言っておくけどホテルのクリーニングに出したから、式が終わるまでは洋服は帰って来ないわよ」
彼女の助けが無ければ男の服を手に入れることもままならない。かくして俺は華麗なドレス姿で元カノの結婚式に参加する事になってしまったのだ。

薄い生地で出来たスカートはひらひらして落ち着かず、ヒールのついた靴はふかふかの絨毯につまづいて転んでしまいそうだ。ヌーブラで膨らまされた胸元にのウイッグの毛先がちくちくと当たり俺自身を辱める。見知った顔が見あたらなかったのはありがたいが、その分「誰、あの可愛い子?」などという囁き声が耳に届いて俺はその度にドキドキしてしまった。
案の上用意されたのは新婦の友人席で、周りは当然ながら女の子ばかりだった。俺は奈試qの中学時代の友人だなどと適当に正体を偽ってなんとかその場を取り繕った。しかし正面に座った怪訝な表情をした女の子の顔を忘れていたのは致命傷だった。
「ねぇ、あなた春川翼君でしょ?」
恥ずかしさで赤くなる顔を隠す為にやけくそで飲み過ぎたビールがいけなかった。お色直しの休憩時間に尿意を耐えきれなくなって仕方無く女子トイレに駆け込んだ俺は、式場で正面に座っていたその女の子に本名を言い当てられてしまったのだった。
「忘れちゃったかしら、私も奈試qの高校の同級生なのよ」
あの頃男子の様なショートカットでバレー部の主将を務めていた彼女、智世の事をそこで俺はようやく記憶から探り出した。
「あの頃は男の子みたいだったから、分からないのも当然かもね」
彼女はそう言って背後から俺のスカート越しに尻を撫でてきた。
「そういう翼くんも、すっかり女らしくなったじゃない♪」
彼女が後輩の女の子からもてまくっていたこと、そしてその全てを食べてしまっているレズ娘だと噂があった事を思い出し俺は悲鳴をあげそうになった。
「ねぇ、ちょっと楽しまない?」
俺はたちまち女子トイレの個室に連れ込まれてしまった。さすがに鍛えられた彼女の力は強く俺は全く敵わなかった。
「ねぇ、こんな格好するのが趣味なの?」
智世は俺のスカートを捲り上げ、レースたっぷりのショーツ越しに俺のペニスを弄ぶ。ついに奈試qとはキス止まりだった俺の身体は、こんな屈辱的な状況でも反応してしまった。
「まあ可愛い。まだ被ってるのね」
小さなショーツの中にでもすっかりと収まっていたそれを揶揄され、俺は死にたい程の恥ずかしさに襲われたが彼女の腕は容赦無く俺の胸を揉みしだく。
「ん・・・あっ!」
ヌーブラを外された乳首を摘まれた俺の口からそんな喘ぎ声が漏れるのはすぐの事だった。さすがに彼女の乳首責めは馴れたもので、俺はしばらく彼女の身体の中で弄ばれる少女の様になってしまっていた。
「こっちは処女なのかしら?」
だがそのうち智世が尻に手を伸ばしたので俺は驚愕した。
「やっ!やめろっ!」
俺は叫ぼうとしたが、あっさりと彼女に口を塞がれた。
「大きい声出したら男だってばれちゃうよ」
そう言われては抵抗しようも無い。俺はショーツをずらされ、背中からスカートを捲り上げられ、恥ずかしい場所をたっぷりと彼女に観察された上に、唾液で濡らされた彼女の指でそこを押し広げられてしまった。
「ま、待って!」
尻の肉に冷たい感触を感じ、そう叫んだ俺の抵抗は一足遅かった。いったい何の為に容易していたのか、彼女の股間に装着されたペニスバンドに俺はたちまち処女を奪われてしまった。
「んんっ・・・あぁっっ・・・」
一瞬頭が真っ白になる程の痛みと内側から肉をえぐられるような強烈な異物感。俺は抗う事も出せずに、ただ屈辱と痛みに涙を便器の中に溢すしか無かった。
「やっ・・・やめてぇっ・・・」
外に聞かれない様に許しを乞う俺の悲鳴を聞きながら智世はゆっくりと俺のアナルをかき乱した。レイプされるというのはこういうことなのかと俺は想像しながら、彼女の局部から生えたペニスを全身で受け入れるしか無かった。
「あっ・・・こ、こんなっ・・・」
だが俺のペニスは意に反して段々と大きさを増していく。気が付けば痛みは快感に変わって行く様だった。
「んふふ、やっぱり翼ってこうされたかったのね。こうやって女の子みたいに犯されたかったんでしょ?」
智世の囁きに否定することも出来ず、彼女に貫かれたまま俺はとうとう射精してしまった。

二人で乱れた衣服を直し慌てて式場に戻ると、新郎新婦によるキャンドルサービスが既に始まってしまっていた。俺は目の前の智世の顔を見ることも出来ずに、ただ奈試qのウェディングドレス姿に見とれてしまった。
お尻はヒリヒリとまだ痛む。処女を女性に奪われたショックで俺は奈試qに自分自身を重ねていた。
『奈試qもあの男に初めてされたとき痛かったのかな』
そう考えると俺はもう普通の男性として、あの男の様に結婚式を挙げることは出来ないのではないかという錯覚に襲われていた。
「今日は来てくれてありがとうね、翼」
気が付けば火の点されたキャンドルを二人で持った奈試qが傍に立っていた。
「う、うん・・・いいの・・・・」
何故か俺はしなくてもいい女言葉で恥ずかしげに彼女に答えた。そしてスポットライトが奈試qと俺を照らす中、彼女は俺に再び囁いた。
「どう、智世に犯されて気持ち良かった?」
驚愕する俺に奈試qは告白した
「わたし二人は付き合ったらお似合いなんじゃないかと思っていたの・・・・もちろん智世が男の子、翼が女の子としてね。式を挙げる時は私も呼んでよね、二人のキューピッドとして」
俺は自分自身のウェディングドレス姿を頭に浮かべて再び真っ赤になってしまっていた。