0005 バレンタイン

「こ、これ・・・受け取って・・・くれるかな・・・。」
伊藤大輝は女子制服の上にコートを纏った姿で、一つ後輩になるバスケ部の主将、川島勇平に綺麗にラッピングしたチョコを差し出した。
「俺に?」
勇平はまさかその女の子が先輩、しかも男子生徒とは思いもしないでチョコレートを受け取る。

「あははは!あいつマジで渡してるよ。男の癖に『私の手作りチョコ食べて下さいって?」
その様子を離れ見ていた大輝と同じクラスの女子生徒達が腹を抱えて笑う。そう、かれはいわゆるいじめられっ子だったのだ。
「それにしても、あそこまで女子制服が似合うと思わなかったよねぇ。」
慣れないスカート姿に恥ずかしさで震える大輝の姿は、まるで憧れの先輩に必死の思いでプレゼントを手渡す一年生女子の様だ。
「君、名前は?」
すっかり騙された勇平は大輝にそう尋ねる。
「あっ・・あのっ・・・その・・・・」
まさか本名を名乗る訳にもいかず勇平は戸惑った。そこにいじめっ子達も予想外の事件が起きる。

「ちょっと、あんた何抜け駆けしてるのよ!」
どこから見ていたのか、あっという間に大輝は大勢の女子生徒に取り囲まれた。胸のリボンの色からしてみな二年生の様だ。
「勇平君はみんなのものなんだからね。あんた見ない顔だけど一年生?」
リーダー格らしい少女が大輝に詰め寄る。
「あっ・・・あっ・・そのっ・・・・あたしっ・・・」
突然の出来事に気の弱い大輝はどうすることもできずに、とうとう涙ぐんでしまう。
「ちょっと!先輩達が聞いてるんでしょ、答えなさいよ!」
そのうち業を煮やした少女が大輝を押し倒した。
「きゃぁっ!」
尻餅をついて倒れる大輝。しかしいつもの癖で足を広げてしまった大輝のミニスカートは捲れ上がり、無理矢理穿かされたショーツがあらわになる。
「キャーッ!!」
それを見た女生徒が悲鳴を上げた。大輝のショーツはしっかりと彼のオチンチンの形に盛り上がっていたからだ。
「こいつ、男よ!」
「うわあっ!変態っ!」
パニックに陥った女生徒達は口々に大輝を罵りながら殴る蹴るの膀胱を加える。
「や、やめてぇっ!!」
必死に逃げ惑う大輝だが、大柄な少女にはがいじめにされる。
「あんたみたいなオカマはちんちんなんていらないでしょ。」
リーダー格の少女はそう言うと、力任せに大輝の股間を蹴り上げた。
「ひぃぎゃーーーーああああぁぁぁっ!!!」
あまりの痛みに大輝は校庭の真ん中で失禁してしまった。

「予定外だったけどなかなか面白かったよね。」
「うん、あいつ卒業式も女子制服で出席させない?」
「それいいわね。いっそのこと小学生みたいに赤いランドセル背負わせて可愛い女児スーツ姿にさせるなんてどう?」
「あははは。それサイコー♪じゃあ私去年妹が着たメゾのスーツ持ってくるよ。」
「それよりあいつチンコ大丈夫かな?」
「そんなのどうでもいいじゃん。明日は教壇の上で女装オナニーショーだからね。それで勃たなかったらいっそのこと潰しちゃおうかっ?」
「うわっ!あんたったら鬼畜ぅ!」
翌日、大輝は高校よりも先に『男の子』を卒業させられるのだった。