矯正都市3(未完)

矯正都市3(未完)

「今日の予定は三件、まずは西区の住宅だ。コスチュームは例のセーラー服だから、さっさと着替えとけ。」
運転席の男がハンドルを握りながらきつい口調で言う。浮島智海(うきしま ともみ)は聞こえない様に溜め息をつくと、「はい」と小さな声で答えた。
大きなワゴンカーの後部には様々な女性用の衣装が積み込まれている。智海はその中から真っ白のセーラー服を取り出す。それは本土で人気のある東○女学館高校の本物の制服で、純白のセーラーに青色のリボンがお嬢様然として、とても可愛らしいものだった。
「お客様のご注文は、フェラとアナルだから。料金は三百円。忘れずにもらってくるんだぞ。」
何度目かのセーラー服に顔を赤めながら、身から出た錆とはいえ、智深は自分の運命を呪った。
十九歳の専門学生だった智深が、この性犯罪者を『矯正』する島、鉛刻島に『入所』したのは一週間前。彼の犯した罪は『デリバリーヘルスを違反と知りながら、その従業員として女性を顧客まで送迎する運転手として荷担した重罪』だった。数年前なら軽犯罪にさえならないその行為は、半年前に施行された『改児童ポルノ規制法』では重罪にあたるとされていた。
もちろんデリバリーヘルス自体も法律では禁止されていたが、生活苦から闇で営業していた業者のドライバーとして智深は働いていたのだった。
「ついてなかった・・・。」
智深は呟く。警察の囮捜査に引っ掛かった智深は女の子を下ろしてすぐに数人の警察官に取り囲まれまれ、なすすべ無く現行犯で御用となった。直ちに確定した智深の刑は禁固十五年、もしくは矯正施設に三ヶ月の入所というものだった。当たり前の様に後者を選択した智深は「矯正」と称したプログラムを科せられ、今この島でデリヘル嬢としての生活を強要されていた。
「ごめん下さいませ。ラブスレイブの智深と申します。本日はご利用頂きありがとうございます。」
玄関先で智深は土下座をして客に挨拶をする。一軒目の客は二十代前半と思われる長身の女性だった。大きな黒い瞳と黒髪がセクシーだ。
「入っていいわよ。」
女性は顎で部屋の奥へ智深を招き入れる。
「溜まってるの、早速やってよ。」
女性はソファに座ると、おもむろにズボンのベルトを緩めた。
「は、はい・・・失礼させて頂きます。」
智深はソファの前に跪くと女性の穿いているズボンのボタンを外し、チャックを下ろす。ズボンの中はレースたっぷりの高級そうな水色のショーツだったが、前の部分は女性ではありえないほど膨らんでいる。
「セーラー服似合ってるじゃない。本当に男なの?」
「あ、ありがとうございます。」
女装させられる様になって一週間、確かに以前よりは女性らしい仕草やメイクの仕方も巧くなったが、その気のない智深にはセーラー服が似合っていると言われても少しも嬉しいはずがなかった。
「どしたの?遠慮しないでいいわよ。」
智深が丁寧にショーツを下ろすと、中からは女性にはありえないもの、黒光りする大きなペニスが顔を覗かせた。
「なかなか立派でしょ?」
女性は智深を見下ろしながら言った。彼女の股間についているのは人造ペニスだった。ただ、人造といっても特殊な手術によって形成されたものだから、いわゆるディルドーと違い、血も通っているし勃起もすれば快感も感じる。
「は、はい・・・とてもご立派なおちんぽ様でございますね。」
智深は躾けられた通りの言葉を口にしたが、男の身でありながら女性の前にセーラー服姿で跪き、『おちんぽ様』等と言わされている状況は恥辱の極みだった。
「さっ、咥えてよ。」
溜まっている、の言葉通り既に勃起し始めている陰茎には血管が生き物の様に筋を立てている。
「し、失礼致します・・・。」
智深はいつもの様に、目を瞑り息を止めてそのいちもつを咥えた。
「ん・・んっ・・。」
十何度目かの事だが、この行為には一生馴れることはないだろうと智深は確信していた。普通の男性なら一生経験する事がある筈も無いフェラチオ奉仕という行為。それも女装姿で、女性に対して行わなければならないのだ。この発狂してもおかしくないほどの恥辱を智深は『矯正』の名の下に、三ヶ月間も続けねばならないのだ。
本来、この街に男性はいない。いるのは智深の様な本土から送られてきた性犯罪者だけだ。しかし、この街に住む『女性』のいくらかは『男性』として生活する事を選択し、その内の半数は人造のペニスを所持していた。まれには、今智深が買われている女性の様に女性として生活をしながらペニスを持つレズビアンタイプの住人も存在する。言ってみればこの街は、女性だけの為の性的に完全な自由都市だった。
「・・・あまりうまくないわね。」
「申し訳ありません。一生懸命勤めますのでお許し下さいませ。」
智深は一度口を引き抜き、土下座して謝罪する。内心、男だから当たり前だと思っていても口に出すわけにはいかない。
「まあ、いいわ・・・その方が長く楽しめるからね。」
女性は笑いながら股を広げると、強引に智深の頭を自分の股間に押し当てた。
「ひぐわぷぅうっつ!」
息が出来ずに智深は悲鳴にならない声を漏らす。しかし、ボディービルでもしているのか強い力に押さえ付けられ股間から逃げることはできない。智深はなんとか鼻で息をしながら、唇と舌で必死に女性のペニスを舐め続けた。
「私本来はビアンなんだけど、こうやってると女の子と変わんないね。」
女性は足で智深の制服のひだスカート捲ると、智深の股間に足の裏を押し当てた。
「んんっつ!!」
「ふーん、ここはやっぱり男の子のままなんだ。」
「ん、ん、んーーんっつ!!」
股間を容赦なく足の裏で押さえ付けられ、快感と痛みに智深は声を漏らす。
「ほら、早くイかせてくれないと、ここ潰しちゃうわよ。」
「ひゃ、ひゃい!」
智深は蒼白になり、唇で亀頭部分を咥えピストン運動を開始する。万が一『事故』で股間を潰されても仕方がない立場に智深はいるのだ。その事はこの島に来たときに十分に教えられていた。智深はその立場に耐え、五体満足で『出所』する事を夢見て屈辱の三ヶ月間を過ごすしかないのである。
「よしよし、いいわよ。」
女性のペニスが智深の口の中で一層大きくなり、先走り汁が口内に苦い味を感じさせる。智深は必死に頭を振り、ピストン運動を続ける。どうしたって逃れられないなら、咥えている時間が少ない方がいい。そうでも考えなければ、自分の口を女性の性処理道具にさせられている現実からは逃れられなかった。
「よし、出すわよ!全部飲みなさい!」
女性は腰を少し浮かすと、智深の頭を両手で抱え込んだ。
「ん、ん、んんんっ!!」
この瞬間だけは自分で必死にピストン運動をしていた事を智深はいつも後悔する。生暖かく、生臭く、粘性のある気持ちの悪い液体が事もあろうに自分の口内に注ぎ込まれるのだ。
「ううっ、、んっ・・・」
女性は何度も腰を振ると、言葉通り「溜まっていた」精液を大量に智深の口内に排出した。男性にしては小柄な智深の小さな口はたちまち、その白濁液で満たされる。
「ふぅっ・・・。」
女性がようやくペニスを引き抜いても智深の仕事はまだ残っている。
「ほら、あーんしてみて。」
女性に指示され、口の中に大量に精液をいれたまま智深は口を開ける。唇の端から流れ落ちそうになる液を女性は人差し指で智深の口内に戻す。
「じゃあ、味わっていいわよ。」
精飲は無料オプションだ。飲まない訳にはいかない。智深はゆっくりとその苦い液を喉に押しやる。一気に飲み込んだ方が楽には違いないのだが、どうしてもその粘性の為と、身体が拒否して一度には飲み込めなかった。
「大変、おいしく頂きました。」
智深は三度土下座で女性にお礼を言う。これほどまで従順になれるまでは大変だったが、お客様に背いた時や精液を飲み干せなかった時に受ける罰を考えると、死にたい程の恥ずかしさに襲われながらも教えられた通りにするしかなかった。
「じゃあ、お尻を頂こうかしら。私アナルは初めてなの。自分で広げてくれる?」
智深は言われるままにベッドに乗ると四つん這いになり、お尻を上げると自分の手でスカートを捲り上げる。
「ふふ、本当に淫乱な女の子みたい。」
女性の声に顔を火照らせながら智深は自身の手でショーツを膝まで下ろし、両手で尻の肉を掴みアナルを剥き出しにする。
「可愛いアナルね。私の入るかしら。」
女性はそう言いながらローションを手に取り、智深のアナルをほぐし始める。
「ああっつんっつ!!」
智深はたまらず声を漏らす。
「あら?もう感じてるの?」
智深のあまりの感度の良さに女性は驚いたが、実は智深のアナルには特殊なクスリで快感を感じる神経が増強されているのだった。それは排泄の度にも喘ぎ声を漏らす程の作用で、女性の柔らかい指で触られた智深が思わず声を出してしまうのも仕方がなかった。
「随分淫乱なのね。ここはどうかしら・・・」
女性は今度は智深のセーラー服の上着の裾から右手を入れると、智深の豊胸された胸にそっと触れた。
「ああ、あああっんっっつ!だめっ!!」
豊胸された胸は出所時には元に戻してもらえるとされていたが、Cカップ並にされた胸にはアナルと同じ快感を感じる作用があり、否応なく智深は本当の女性の様に触られる度に喘いでしまう事になる。
「ふふふ、女の子みたいにされて感じてるのね。可愛いわよ。」
女性は智深のブラの中にまで指を入れ、乳首を指でつまむ。
「あはっんっ・・んっつ・・や・・やめてっつ・・んっつ・・」
「やめてほしいの?でもここはそう言ってないわよ。」
女性は左手で智深のペニスを握る。女性のものと比べると親指ほどでしかない智深の貧弱な性器はそれでも勃起していた。
「あらら、可愛いおちんちんね。赤ちゃんのみたい・・・これなら私も嫌悪感ないわ。」
本来ビアンである女性だったが、智深の矮小なペニスはおもちゃ程度としてしか認識されず彼女は左手でそれをまさぐり続けた。
「あっ・・あっ・・・あっ・・・・ひぃーーーーっ!!」
突如女性が智深の尻を平手打ちした。快感を感じていたところに正反対の刺激を受け、智深は大声で悲鳴を上げる。
「お客さん放っておいて自分だけ感じてないの!ほら突っ込むわよ!」
次の瞬間、智深の頭をとてつもない異物感が支配した。
「いぎぃひぃーーーーーっつ!!!!」
同時に智深は悲鳴を上げる。
「まだ亀頭だけよ。」
「ひぃーーっ!!無理!!無理です!!!」
女性のペニスは今まで挿入された中で最大の太さだった。短期間しか拡張調教されていない智深のアナルは裂けそうになり、快感と恐怖の間で智深は動くことも出来ず懇願するしかなかった。
「おとなしくしてないと本当に裂けちゃうわよ。」
女性はローションを自分のペニスに垂らすと、更に智深の尻に突きつけた。
「あひぃぅーっ!!」
「ほらっ、全部入っちゃわよ。」
女性は根本までペニスを挿入すると、智深のセーラー服を胸の上までたくし上げ、ブラジャーを強引にはぎ取ると、両手で智深の胸をわしづかみにする。
「ああんっ!!ああっつ!!」
胸の快感と尻の痛みに智深の頭は困惑し、口からはよだれが垂れ流されていた。
「そんなに気持ちいいの?じゃあもっと気持ちよくさせてあげるっ!!」
女性は智深の胸を爪痕がつくほどに揉みながら、腰を動かし始める。
「ああっつ、ああっ・・・ああっんっ!!!」
「どう?お尻も感じてきた?」
信じたくない現実だったが、智深は全身に快楽を感じていた。辱められている自分を想像して、こんな事で感じてはダメだ。と思ってもそれをあざ笑うかの様に次々と脳が溶けてしまいそうな快感が押し寄せる。
「ああっ!!もっと!もっと突いて!!ああんっ!!」
「んふふ、この淫乱娘。ほら、たっぷり味わいなさい。?」
ついには自分から求めてしまった智深に対し、女性は激しく腰を動かし続ける。
「ああぁーーー!!いいっ!!いいっ!!かんじちゃうっ!!!」
先程では考えられないセリフを吐き、智深は自分でも胸を揉み始める。
「んっ・・・出すわよ!!たっぷりと感じなさい!!」
二人は狂った様に腰を動かし、バックからペニスをさされたまま智深は女性の精液を自らの体内に受け入れた。

「はい、三百円ね。よかったわよ。」
身支度を調えた智深は先程の痴態を激しく後悔しながら料金を受け取る。しかし何度後悔してもそれが無駄である事も、悲しい事ながら智深は最近分かってきた。改造された智深の身体はいざSEXとなると智深の心とは乖離した存在となってしまうのだ。
「ありがとうございました。またご利用をお願いいたします。」
受け取ったのはわずか三百円。これぐらいなら無料の方がましだ。その少量の金額は智深が、自分が金目的で身体を売っている事を自覚させる為の演出だった。出所できても智深が二度とデリヘルなど利用する事はないだろう。そういう意味ではこの時点で智深の『矯正』は成功していたと言える。
しかし、この街にはもう一つの裏の顔があった。いわば、女性のユートピアとしての街とうのがそれだった。女性はこの街では好きな性を選び、好きな職業に就き、人生を謳歌する。そして面倒な仕事、家事や肉体労働、最終的には出産や育児まで・・・は全て男性が背負う。それがこの街を作った女性達の目的であった。
それ故、矯正が済んだからと言って智深は出所させてもらえる訳が無く、たとえ刑期が完了しても、この街に残らざるをえない罠が仕掛けられていたのである。多くの場合、それは『快感』だった。性行為をしている時の分かる様に、人は快感という物に冷静に対応出来る様には出来ていない。もしそうであれば人間という種族はここまで繁栄しなかっただろう。その『快感』を人一倍感じさせて毎日をSEX漬けにされる事はある意味、麻薬常習者とさせられるよりも恐ろしい事だった。故に、多くの受刑者は本土に帰って男の生活に戻るより、この街で女として『女性』に奉仕しながら生きる事を選択するのだった。

二軒目の○学生男子、三件目の青年にたっぷりと精を注ぎ込まれ夕刻、ようやくその日の仕事から解放された智深に運転手が信じられない言葉を浴びせた。
「さっき電話で注文が入った。今日はもう一軒行くからな。」
「で、でも・・・今朝三軒って・・・。」
「なんだ?文句でもあるのか?」
「す、すいません・・・。」
さすがに抵抗してみせた智深を運転手は睨み付ける。この男はいわばお目付役で、悪い評価を付けられると刑期が延長する危険さえあった。しかし、まだ仕事に不慣れな智深にとって、一軒増えるのは文字通り身を削る思いだった。既に身体は様々な体液の臭いをプンプンとさせており、気を抜くとアナルからも注ぎ込まれた精液が流れ出る始末だった。一刻でも早く帰ってシャワーを浴びたいという智深の願いは虚しく却下されたのだ。
「次はお得意様だからな。失礼のないようにな。」
運転手が言う。本来ならば智深の所属するデリヘルは完全予約製だ。智深の様な受刑者がそんなに多くいる筈もなく、注文も多いからだ。そんな中でお得意様というのは、一部の特権階級を持ったものか、本当に純粋な『男』が好きな者かに限られる。智深はそんな事は夢にも思わず、指示された通りのコスチュームに着替え始めた。

「あ、あの・・・本当にこの格好で外に出るのですか・・・・。」
客のマンションの前に止められた車の中で、智深は身もだえするように言った。
「当たり前だ。お前ら矯正対象者はたとえ裸で外を歩いても罪にはならないから安心しろ。」
当たり前と言いながら運転手も苦笑している。智深が着せられていたのは、一見女子高生の制服だが、セーラー服風の上着は胸の下あたりまでの丈しかなく、中に付けているピンクのブラをちらちらと垣間見せ、襟部分は蛍光に近いピンク色、袖口はパフスリープ。裾に赤いラインの入ったプリーツスカートに至っては真っ直ぐに立っているだけでもショーツを隠しきれない程の丈しかなく、この格好で外に出るのはまさに「犯して下さい」とでもいわんばかりの服装だった。
「で、でも・・・。」
その制服に紺色のニーソ。髪の毛は幼い感じに見える星形の髪留めでツインテールにされた智深は恥じらいながら言った。それは無理もない事だった。幼稚園児でさえ、そのショーツ丸出しの格好は抵抗があるだろう。ましてや智深は十九歳の男の子なのである。
「なんだ、まだ文句があるのか?どうやらお前はまだまだ躾が必要なようだな。」
運転手のセリフに智深は慌てて車から飛び降りた。
「い、いってまいります。」
「それから、お客様のご希望はプラチナコースだからな。覚悟しておけ。」
「えっ!」
智深が驚くのも無理はなかった。プラチナコースはラブスレイブの中で最上位のコースでいわば「何でもあり」のコースだった。つまりフェラチオ何円・本番何円というレベルではなく、極論顧客は「デリヘル嬢に何をしても良い」のだ。ただ、その分料金も高額で、他のコースが矯正者に辱めを与える様にわざと低額にされているのとは異なり、その金額は一般人が娯楽費として払える限度を超えていた。そういう背景もあり、智深はプラチナコースの指定を受けたのは初めてだった。

「気の毒だが、失礼の無い様にな。」
「・・・・はい。」
消え去りそうな声で返事をして立ち去る智深を見て、さすがの運転手も呟いた。
「やれやれ・・・たった一週間でここのお客に指名されるとはついてない娘だ。」

「チェンジだ。」
いつもの様に玄関に跪き、挨拶した智深の前に立ちはだかった男は智深を見るなりそう言った。
「えっ!?」
やってきたデリヘル嬢が気に入らなければ他の娘に変更することが出来る。その様なシステムがあることは智深も知っていたが、それを宣言されたことは始めてだったのだ。なぜなら、智深は男性としては背が低く華奢で、肌も白く女の子の様な顔立ちをしていたので、多くの場所では歓迎されたのである。
「聞こえなかったのか?チェンジだ。他の娘を連れて来い。」
男はけだるそうな声で繰り返した。男はこの街の『男性』にしては珍しく見た目が良くなかった。智深よりは高いが、160センチなさそうな身長に小太り、いやらしい印象の顔つきに着ている物も汚れている。
「あ・・・あの・・・でも・・・。」
智深は決して男性に好かれたい等と思ってはいなかったが、目の前で「チェンジと言われるのはさすがに堪える。しかも、美しい女性にならともかく、見た目醜男に言われているのである。
「聞こえないのか?クソ女!」
男はそういうと智深を物でも扱うかの様に玄関から外に押し出し、ドアを閉めてしまった。
「・・・仕方ないよね。」
ここまでされては、もう戻るしかない。智深は少しの安堵感を覚えながら部屋を後にした。正直、あんな『男』に抱かれると考えただけで智深は身震いしていたのだ。

「ダメだ。もう一回行ってこい。」
しかし待っていた運転手の言葉は厳しかった。智深自身が経験ある事だが、そう簡単に別の女の子を手配する事は難しい。この街における智深の様な立場ならなおさらだ。
「で、でも・・・。」
懇願する智深だが、運転手は冷たく突き放す。
「お前の誠意が足りないんだ。ドアの前でもなんでもいいから必死にお願いして来い。入れてもらえるまで帰って来るんじゃないぞ!」
運転手は智深の背中を叩くと車のドアを閉めてしまった。双方から見放された智深はどうする事もできずに男の部屋に戻るしかなかった。逃げ出したい気分で一杯だったが受刑者という立場では出来る筈もなかった。

「申し訳ありません。なんでもさせて頂きますので、私でご満足して頂けないでしょうか・・・。」
インターホン越しの長い交渉後、ようやくドアを再び開けてもらった智深はマンションの廊下で深々と土下座する。要は土下座して「私を犯して下さいませ」とお願いしているのだ。智深の心は計り知れない恥辱に満たされていた。
「本当になんでも出来るのか?」
男は玄関先に座り込んで言った。元女性とは思えない程の低い声だ。
「はっ、はい!」
智深は何をされるのか恐れながらも返事をする。ここで突き放されればもう戻るところは無いのだ。刑期の延長も覚悟しなければならない。
「じゃあ、そこでオナニーしてみろよ。女っぽくな。」
それだけいうと男は再びドアを閉ざした。
『こ、ここで・・・オナニー?!』
男の要求にあきれかえる智深だったが、言い付けに従うしかない。しかし、いつ他の住人が通ってもおかしくない場所でオナニーだなんて・・・。智深は考えただけで死にたい程の気分になった。
「ん、んっつ・・・・」
しかし、何もしない訳には行かない。智深は周囲を見渡して人が見ていない事を確認すると、廊下の手すりにもたれると、ドアの前に向かって股を開いた。男はドアに付いた覗き窓から見ているのだろうか?
『変態覗き見趣味男め!』
心の中で毒づく智深。大体自室の前でこんな事をさせたら自分も恥ずかしいだろう。しかし、そんな事は意にも介さない程の変態ならこれから何をさせられるのか・・・智深はかぶりを振ってとにかくこの状況から逃れようと自らの股間に指を這わす。
「ん・・・あんっ・・・。」
いまやスカートがスカートの役目を果たさず、丸出しのショーツの中に智深は指を入れる。『女の子らしく』という注文なのでペニスを握る事は出来ない。一体どうすればいいのか困惑しながら両手で自身のペニスをいじっていると、ドアの下の隙間からメモ用紙が差し出された。
『アナルに指を突っ込め』
やはり男は覗き窓から見ているのだ。そうなると智深は従わざるをえないが、それには激しい抵抗があった。今までお尻を何度も犯されているとはいえ、それは半ば強引にされた事である。自分自身で指を入れる等、本当に変態になった気分だ。
『・・・クソッ』
あまり待たせると怒らせるかもしれない。智深は聞こえない様に言うと、意を決して右手の人差し指を唾液で湿らせる。
「ん・・・ん・・んっ・・。」
爪を立てないようにゆっくりと自身のアナルに指を入れる智深。
「ああっつんんっつ!!」
しかし改造された身体は残酷だ。智深がどれだけ恥辱を感じ、感じないように努力しても、脳髄をとろけさせるような快感は容赦なく智深の口から快感の音を漏らす。
『付け根まで突っ込んで指をくねらせろ。』
男から二つ目の命令が差し出される。智深はゆっくりと奥まで指を突っ込むが、人差し指は意外に長い。
「・・・ああっ・・あっ・・んっ!」
必死に声を漏らさない様にする智深だったが、左手で口を押さえても喘ぎ声が指の隙間から漏れ出す。
「んっ・・あうんうっぅ!」
あまり大きな声を出すと、他の部屋の住人に聞こえてしまうかもしれない。しかし容赦ない命令が男から差し出される。
『もっと大きな声であえげ』
「そんな・・・」
智深が涙目で覗き窓を見つめると、しばらくして再びドアの隙間から紙が突き出された。
『誰かに見付かるまで続けろ。できないなら帰れ。』
「ああっ!」
智深は絶望の淵にたたき落とされた。しかし、もはや逃げ帰る訳にもいかない。
「ガチャッ」
その時隣室のドアが開き、中から少女が現れた。
「ヤダ、またやってる。」
少女は汚いものでも見る様に智深を凝視する。
「ご、ごめんなさい。」
智深は年端もいかない少女に思わず謝罪し、目の前のドアの向こうに向かい哀願の声を出した。
「み、見られましたから、開けて下さい。」
しかしドアの向こうから返事は無い。代わりに声を出したのはその様子を眺めていた少女だった。ミニスカートに革製のブーツを履いた気の強そうな娘である。
「無理ね。射精するまでは入れてくれないわよ、この部屋の変態男。」
「し、知ってるの?」
「何、タメ口聞いてるのよこの変態犯罪者が!」
少女の返事はブーツの底だった。
「うぎぃひーッツ!!」
固いブーツの底で剥き出しにしていたペニスを踏みつけられた智深が悲鳴を上げる。
「ほらほら、さっさとイかないと潰しちゃうわよ。」
「ひぃーっつ!!」
しかし被虐趣味でもない智深が、ブーツで股間を踏みつけられたままで達する事が出来るわけも無かった。
「ゆ、ゆるして・・・。」
さっきまで、なかば勃ちかけていた智深のペニスは縮こまり、その先からは恐怖に漏らしてしまった黄色い液体が少量流れ出ていた。
「うわっ、汚い!」
少女は自分のブーツが濡れている事に気付き慌てて足を持ち上げると、そのまま智深の顔面に靴底を押しつけた。
「んぐ・・・んんっつ・・・ん!!」
口を塞がれた智深は必死に抵抗するが、只でさえ足を開いた無防備な格好に、少女の立派な足の力で手すりに押さえ付けられ身動きがとれない。
「ほら、ほら、オナニーショー続けてよ。」
早くしないと窒息してしまう。恐怖にかられた智深は慌てて右手でペニスをシゴキ始めた。
「んふふ、女の子に顔を踏まれながらオナニーなんて、あんたも真性の変態みたいね。」
「んんっ・・・ん・・。」
もちろん智深はそんなMではない。しかし、抗議よりも先に今は射精することが肝心だった。智深は自分の顔を踏みつけている足の根本、ミニスカートから伸びる少女の大腿に目をやり、勃起しようと必死に努力する。
「役に立たないちんちんね。早く出さないとこの部屋の変態男に嫌われちゃうわよ。」
しかしこのような状況でノーマルな男性が勃起できる筈も無い。智深のペニスはうなだれたままだった。
「飽きてきちゃった。もう行くわね。」
そのうち少女はつまらなそうな顔をすると、足を下ろし立ち去ろうとした。
「あっ、待って!」
少女に行かれては射精に達しても、部屋の男は認めてくれないだろう。智深は少女を引き留める。恥ずかしいが仕方がなかった。しかし、振り返った少女から出たのは思わぬ言葉だった。
「出させてあげようか?」
智深は無意識に即答する。
「は、はいっ!」
少女はニヤリと笑うと智深の両足を引っ張り、仰向けの体勢に寝かしつける。
「ほら、あんたなんかにはこれで十分よ!」
少女は無造作に、ハイヒールのように尖ったブーツのかかと部分を智深のアナルに突き刺した。
「んぎひぃーーっつ!!」
ペニスやバイブではない角張った張り物を挿入される痛みに、智深は激痛の叫び声を上げた。
「あんたら変態はアナルで感じるんでしょ?」
少女は更に奥までヒールを突っ込む。その快感に耐えきれず、智深のペニスはゆっくりといきり立ち始めた。
「やだ、本当に感じてるのね、この変態。ほらほら、もっと感じちゃいなさい。」
少女は自転車に空気を入れるように小刻みに足を動かす。智深のペニスはもう完全に勃起していた。智深は右手でペニスを掴むと、ピストン運動を開始する。
「んふふ、ブーツでお尻を犯されながらオナニーなんて・・・ほんと変態ね。」
少女は智深の顔に唾を吐きかける。
「ほら、イっちゃいなさい!」
渾身の力で少女が足を蹴りつけ、奥までヒールが達すると同時に智深の粗末なペニスから白い液体がほとばしる。
「ああーっつ!!んっつ!!んっつ!!」
気が付けば、仰向けのまま足を上げる姿勢にされていたため、智深は自分の出した精液を自身の顔面に顔射する事になってしまった。何度かの快感の後、智深はその気持ち悪さと情けなさに閉口した。
「なかなか楽しかったわよ。十分にほぐしてあげたから変態男に可愛がられてきなさい。」
少女は立ち去り、振り向くとドアが開かれていた。

「入れ。」
通された部屋は大変な散らかりようだった。汚い万年床に、食べかけのカップラーメン。枕元には大量のエロ雑誌、ビデオの前にはエロDVD、パソコンデスクの横には大量のエロゲーが山と積まれている。
『こんなところでするのか・・・』
智深は暗鬱たる気分になった。今まで智深は綺麗な部屋にしか招かれた事はない。この部屋の主も本来は女性である筈なのに、この惨状は酷すぎる。これはまるで、独身男性の部屋だ。
「あの、洗面所をお借りしてよろしいでしょうか?」
顔に付着した自身の精液があまりに気持ち悪く、智深は恐る恐る男に話しかけた。
「ダメだ。」
帰ってきた返事はそっけないものだった。
「俺はそういうのが好きだからな。勝手に拭いたら殺すぞ。」
ドスのきいた低い声に智深は震えた。
「いま、ゲームがいいところなんだ。」
男はパソコンデスクの前にあぐらをかいて座り込む。デリヘルを呼んでおいてゲーム?智深は訝しげに思いながら、そっとモニターを覗き込んで息を飲んだ。
「あ・・・あの、それって・・・。」
モニターに映っている美少女キャラが身に付けている衣装は、今智深が身につけているものと同じだったのだ。驚くべき事に、髪型から髪飾りまでそっくりな格好に智深はさせられている。
「そうだ。マイナーだが面白いゲームでな・・・。とりあえず、オナホールの代わりをしてもらおうかな?」
「えっ?」
男の言っている言葉の意味が分からず智深は聞き返す。今までそんな要求を受けたことは無かったのだ。
「黙ってここに座って、俺のを咥えればいいんだよ!」
男は目の前の汚い床を手で叩いた。その剣幕に慌てて智深は男の前に跪く。
「おら、さっさとしゃぶれ!」
男はそう言いながらゲームを始めた。智深にとってそれは屈辱だった。普通にフェラチオをさせられるだけでも男としては大変な恥辱が伴ったが、今恥ずかしい衣装を強要された上で、まるで人間以下の「道具」としての扱いを受けているのだ。
「失礼します。」
しかし、そんな事はおくびにも出すわけにもいかない。智深は仕事と割り切って、男のズボンに手をかけた。
「んんっ!!」
その途端もの凄い悪臭が智深の鼻先をかすめた。間違いなく男の股間からの臭いだ。どんなに清潔にしていても性器というものは独特の臭いを発するものだが、それはその領域を超えていた。
「臭いか?もう一週間も洗ってないからな。」
一週間?智深は聞いただけで吐き気を催した。しかし、もう後戻りは出来ない。ゆっくりとズボンのボタンを外すとチャックを下ろす。中からは黄ばんだブリーフが出てきた。ブリーフに包まれたペニスは既に大きくなっている様だ。
「失礼します。」
なるべく臭いをかがない様に小さな声で言うと、智深はブリーフをずり下げた。
「あっ!」
智深は思わず声を出した。中から出てきたペニスは、勃起しているというのにまだ皮を被っている。男のそれは包茎だったのだ。
「なんだ、驚いたか?」
男はクリックしながら呟いた。この街の女性が持つペニスは全て模造ペニスの筈で、その意味からすれば包茎というのはあり得なかった。事実、今まで智深が受け持たされた客にこんなペニスの持ち主はいなかった。しかもそのサイズはかなり小さめで、今まで巨根と称する様なペニスばかり咥えてきた智深にとってはかなり違和感のあるものだった。
「手術の失敗でそんなペニスにされちまった。その分慰謝料が入ったので気ままに生活させてもらっているけどな。」

以上。未完ですいませんm(_ _)m